How To~ 自転車 問題解決大全
こんにちは、だいごろうです。
このコーナーでは普段、皆様が自転車に乗っていて疑問に思うことや、知りたいこと、お悩みなどについて、僕の知っている知識と経験を利用していただくことで解決のヒントになりそうな内容をまとめてみました。
第2段は『ボトムブラケット(BB)の交換 取り付け方法』です。
前回の基本知識編に続き、実際の作業 カートリッジタイプ編をお伝えします。
『ボトムブラケット(BB)の交換 取り付け方法(装着)②四角軸 カートリッジタイプ編』
まずは装着において一番簡単なカートリッジタイプのBBの場合についてご説明いたします。
最初にフレームのネジ山に大量にグリスを塗ります。
フレームのネジ山はピッチが細かくネジの焼き付き(B BOLT 自転車のボルト(ネジ)について考える ① を参照)を起こしやすい部分ですし、体重を支えたり、ペダルを漕いだ時の強大なねじれ力に耐えなければならない部分ですので絶対にグリスが必要です。
後々のキシミ音の発生を抑えるためにもグリスはケチらずにたっぷりとネジ山の端から端まで塗っておくのが好ましいです。
僕は今までの経験上この部分にはシマノのプレミアムグリスが最適だと考えています。実際にいろいろな製品を試してきましたが、他のグリスに比べて後々のキシミ音の発生が少ないように思います。
シマノ プレミアムグリス チューブ入り 100g Y04110200 | ||||
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・『ISO、JIS、BSC』の取り付け。(フレーム幅68mm、73mm、83mm、100mm)の場合。
フレームのネジ山にグリスを塗り終えたら車体の右側(ギア板のある側)のBBパーツをフレームにネジ込んでいきます。
『ISO、JIS、BSC』の場合は逆ネジ(時計と反対方向に回すと締まる)です。フレームの最後の突き当りまで軽くねじ込んで行きます。最終的に強力に締めこむのはまだ後の作業です。
次に左側のBBのパーツ(左カップ)を準備します。
まず最初に左カップの内側(内面)にグリスを塗ります。
ここは装着後にBBの右側の部品と接する部分ですので、ペダルを漕いだ時に強大な捻じれ力を受けてキシミ音が出る場合があります。ここもデュラエースグリスがお勧めです。
それではいよいよ左側のBBのパーツ(左カップ)をねじ込んでいきます。
こちらは正ネジ(時計回りに回すと締まります)カップが半分ぐらいフレームに入ったところで一旦ねじ込むのを止めます。
もしも途中で回転が止まってしまった場合は右側の部品に当たって(接触して)しまっているかもしれませんのでその場合は2、3回転ほど緩めます。
次に右側のBBパーツを強力に締めこみます。
トルク値は30Nm~50Nmとなっております。この値はプロメカニックでなければピンとこない数値かと思いますが、かなり強力な数値です。
ペダルの取り付けに必要なトルクと同等です。両手で工具を持ちしっかりと強い力で締めこむ感じです。力の弱い人の場合(女性の場合等)は本当に力いっぱいという感じです。
強力に締めこむ際に工具が外れてしまったり、ズレてしまうと危険ですので、できれば工具自体が外れないように工夫することも必要です。
僕はシマノの純正工具(TL-UN74S)に大き目のワッシャーを付け、クランクボルトで工具をワッシャーで挟み込んでから締めこんでます。緩める時にも使用しております。
シマノ アダプター戻し工具 TL-UN74-S | ||||
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『おススメのBB脱着工具のご紹介』
ボトムブラケット(BB)の取り付け、取り外し工具の決定版!!
作業時の工具の脱落やグラつきを押さえる専用シャフトが付属。
作業の安定性が大幅にアップ!! これにより固く締まったBBも安全に取り外し可能です。
(従来のBB用工具はグラつきにより勘合部の破損や不意に工具が外れる等の危険がありましたが、この工具の登場により安全確実に作業が可能となりました。)
一般的なスクエアテーパー(四角軸)BB、シマノ オクタリンクBBに対応しております。
『販売ショップへのリンク』 (KINOMORI GS) @mercarishops で販売中!
さきほど左カップを最後まで締め切らなかった理由はこの強力な締め付けトルクを必要とする作業にあります。
右ワンの締め付けが強力なためフレーム及びBBのネジ山部分にも相当な力がかかります。BBを締め付ける工具の相対的な位置関係から、フレームのネジ山部分には強大ねじれ力が働きます。
フレームのネジ山を保護する為にもこのねじれを抑える必要があります。そこで左カップを事前に途中まで締めこんでおくことで右側のBBパーツねじれを内側から支えネジ山に余計な力がかからないようにします。
次に左カップを強力に締めこみます。
こちらは右側に比べると若干ですが弱いトルクでも大丈夫です。
シマノの最近のBBの場合は左カップが樹脂製の場合が多いですので右ワンと同等に締め付けると樹脂が割れてしまう場合があります。ですので割れない程度にきつく締めこむ必要があります。
こうして左右の締め込みがきちんと完了したら、シャフトを手で回してみてスムースに回転するか確認します。
カートリッジタイプの場合は製品に問題がなければ特に問題無く回転するかと思います。
・『イタリアン』の取り付け。(フレーム幅70mm)の場合。
基本的には先ほどの『ISO、JIS、BSC』規格と右側(ギア板のある側)のネジ山の向き(締め付ける際の方向)が異なっているだけで作業工程は同じです。
まずフレームのネジ山にグリスを塗り終えたら車体の右側(ギア板のある側)のBBパーツをフレームにネジ込んでいきます。
『イタリアン』の場合は正ネジ(時計方向に回すと締まる)です。フレームの最後の突き当りまで軽くねじ込んで行きます。最終的に強力に締めこむのはまだ後の作業です。
次に左側のBBのパーツ(左カップ)を準備します。まず最初に左カップの内側(内面)にグリスを塗ります。
ここは装着後にBBの右側の部品と接する部分ですので、ペダルを漕いだ時に強大な捻じれ力を受けてキシミ音が出る場合があります。ここもシマノプレミアムグリスがお勧めです。
シマノ プレミアムグリス 50g Y04110000 | ||||
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それではいよいよ左側のBBのパーツ(左カップ)をねじ込んでいきます。
こちらも正ネジ(時計回りに回すと締まります)カップが半分ぐらいフレームに入ったところで一旦ねじ込むのを止めます。
もしも途中で回転が止まってしまった場合は右側の部品に当たって(接触して)しまっているかもしれませんのでその場合は2、3回転ほど緩めます。
次に右側のBBパーツを強力に締めこみます。
トルク値は30Nm~50Nmとなっております。この値はプロメカニックでなければピンとこない数値かと思いますが、かなり強力な数値です。
ペダルの取り付けに必要なトルクと同等です。両手で工具を持ちしっかりと強い力で締めこむ感じです。力の弱い人の場合(女性の場合等)は本当に力いっぱいという感じです。
強力に締めこむ際に工具が外れてしまったり、ズレてしまうと危険ですので、できれば工具自体が外れないように工夫することも必要です。
僕はシマノの純正工具(TL-UN74S)に大き目のワッシャーを付け、クランクボルトで工具をワッシャーで挟み込んでから締めこんでます。緩める時にも使用しております。
シマノ アダプター戻し工具 TL-UN74-S | ||||
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『おススメのBB脱着工具のご紹介』
ボトムブラケット(BB)の取り付け、取り外し工具の決定版!!
作業時の工具の脱落やグラつきを押さえる専用シャフトが付属。
作業の安定性が大幅にアップ!! これにより固く締まったBBも安全に取り外し可能です。
(従来のBB用工具はグラつきにより勘合部の破損や不意に工具が外れる等の危険がありましたが、この工具の登場により安全確実に作業が可能となりました。)
一般的なスクエアテーパー(四角軸)BB、シマノ オクタリンクBBに対応しております。
『販売ショップへのリンク』 (KINOMORI GS) @mercarishops で販売中!
さきほど左カップを最後まで締め切らなかった理由はこの強力な締め付けトルクを必要とする作業にあります。
右ワンの締め付けが強力なためフレーム及びBBのネジ山部分にも相当な力がかかります。BBを締め付ける工具の相対的な位置関係から、フレームのネジ山部分には強大ねじれ力が働きます。
フレームのネジ山を保護する為にもこのねじれを抑える必要があります。そこで左カップを事前に途中まで締めこんでおくことで右側のBBパーツねじれを内側から支えネジ山に余計な力がかからないようにします。
次に左カップを強力に締めこみます。
こちらは右側に比べると若干ですが弱いトルクでも大丈夫です。
シマノの最近のBBの場合は左カップが樹脂製の場合が多いですので右ワンと同等に締め付けると樹脂が割れてしまう場合があります。ですので割れない程度にきつく締めこむ必要があります。
こうして左右の締め込みがきちんと完了したら、シャフトを手で回してみてスムースに回転するか確認します。
カートリッジタイプの場合は製品に問題がなければ特に問題無く回転するかと思います。
これで四角軸のカートリッジタイプのボトムブラケットの取り付け作業は完了です。
ちなみに一般的な製品で一番のおすすめ商品はシマノのBB-UN26です。価格もお求めやすく回転の軽さ、寿命、トータルバランスが最高の商品です。どれを選んだら良いかわからなくて困ったらコレを選んでおけば間違いないです。(サイズは数種類ありますので適合するサイズをお選びください。)
SHIMANO(シマノ) BB-UN26 68BSA 122.5mm(LL123) BB-UN26 | ||||
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最後に、四角軸のシャフトとクランクとの嵌め合わせ部分(テーパー部分)についてですが、僕はここにはグリスは塗らないようにしております。
メーカーの説明書を読むと、ここにグリスを塗るように記載されておりますが、僕はあえて塗っておりません。
これにはちゃんと理由があります。
このテーパー部分はシャフトに対してクランクを圧入する方式で固定されます。固定後、実走行時には乗られている人の体重や段差の衝撃等をすべてこのテーパー部分で支えています。その衝撃で実は圧入が緩みやすい部分でもあります。
グリスを塗ることでクランクがスムースに奥まで入り、一見、理にかなっているように思えますが、実は後々の実走行の衝撃時にグリスでクランクが滑り始めどんどん緩みが生じてきます。
その都度、または定期的にクランクボルトの増し締めを行えば問題ないのでしょうが、一般のお客様がクランクボルトの締め付けに定期的に店に訪れることはありません。納車後そのままずっと乗り続けていることがほとんどです。
ですのでどんどんクランクに緩みが生じ、ガタついてきて、とうとうクランク側の四角穴が変形してどうしようもなくガタガタになった時に初めてお店に訪れるという状況となります。こうなると新しいクランクに交換するしかありません。
そこで僕は実際に、説明書通りにグリスを塗ってからクランクを組付けた商品とグリスを塗らずにクランクを組付けた商品とを両方販売して統計を取ってみました。
明らかにグリスを塗らない方が後々のクランクの緩みが少なく、クランク自体の寿命が長くなりました。とくに競技等でハードに使用する方の場合はすぐに結果がでました。
このあたりの判断は説明書に反しての行動ですし、それぞれのメカニックの人の判断になりますが、僕はマニュアルよりも実際の結果を優先し、より安全でお客様からのクレームの少ない方法を取り入れております。
このお話はきっとどこを調べても出てこないここだけのお話かと思いますが、実際20年間毎日行ってきた結果得られてきた経験と知識ですのでよろしければご参考にしてください。
というわけで今回は『ボトムブラケット(BB)の交換 取り付け方法(装着)②四角軸 カートリッジタイプ編』についてお話いたしましたがいかがでしたでしょうか?
♦ まとめ ♦
①フレームのネジ山部分にはグリスをたっぷりと塗る
②BBの締め付け手順には順番と各規格ごとに締め付け方向が異なる
③四角軸のシャフトとクランクとの嵌めあい部分にはグリスを塗らない方が良い
⇒ ボトムブラケット(BB)の取り付け方法(装着)③四角軸 分解調整可能タイプ編 『ISO、JIS、BSC』(フレーム幅68mm、73mm)の場合。前編
ボトムブラケット(BB)の交換 取り付け方法(装着)①四角軸 基本知識編 ⇐