How To~ 自転車 問題解決大全
こんにちは、だいごろうです。
このコーナーでは普段、皆様が自転車に乗っていて疑問に思うことや、知りたいこと、お悩みなどについて、僕の知っている知識と経験を利用していただくことで解決のヒントになりそうな内容をまとめてみました。
今回は番外特別編として『HOLLOW TECH Ⅱ(シマノ ホローテック2) BB取り付け工具 まとめ シマノ純正編』です。
ここではBBの外形サイズが5種類も存在するシマノ製HOLLOW TECHⅡ(ホローテック2) BBのそれぞれのサイズに対応する取り付け工具をサイズ別にまとめて解説、ご紹介してみたいと思います。
取り付け工具をお探しの際に誤ったサイズの商品とならないようにご参考にしていただければ幸いです。
シマノ純正 HOLLOW TECHⅡ(ホローテック2) BB取り付け工具編
<ねじ込み式タイプBB用取り付け工具>
①外形サイズが一番大きいモデル(φ44mm)用(BB-RS500, SM-BB80, SM-BB52 等に対応)
シマノ [TL-FC36] ホローテック2用BBアダプター取り付け工具 | ||||
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このTL-FC36はBB取り付け、取り外し時の安全な作業性をよく考えられており、手持ち部分がオフセットしております。またBBに接触する部分の幅や精度もよくBBを傷つける心配がありません。ハンドル部分が長くラバー加工されておりますので強い力が必要な場合でも安心して作業できます。おススメです。
BBだけでなくセンターロックタイプのディスクローターの取り付けにも対応しております。スルーアクスルタイプのホイールをご使用の方はこの工具がおすすめです。
SHIMANO (シマノ) ホローテック2BBユニット取付け工具 TL-FC32 | ||||
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さきほどのTL-FC36の廉価版といったところでしょうか、形状がメガネレンチ型ではなくスパナ型となっておりますが開口部の大きさの関係から通常のスパナのように工具開口部からBBに差し込むことはできません。
BBとの接触部分の表面の仕上げが比較的角張っておりBB自体に傷がつくことがあります。サイズの異なるBB用のアダプター(TL-FC24及びTL-FC25)と組み合わせて使う場合はBB表面に傷をつける心配はありません。
これらのアダプターとの組み合わせの際には、アダプターがきっちりとはまる位置がありますので目印の位置を確認して組み合わせるようにしてください。
また、ハンドルの長さに関しては長さが短く、固く締まったBBの場合は取り外しできない場合もあります。価格はお求めやすいですが全体的にあくまでも廉価版とした印象です。
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このタイプの工具はその名の通りインパクトレンチに対応する工具となっております。インパクトレンチって何?とおっしゃる方もいらっしゃるかと思いますのでここで簡単にご説明いたします。
<インパクトレンチとは?>
画像のようなピストル型の工具です。画像は電動インパクトレンチですが電動の他に動力に空気を利用するエアインパクトレンチもあります。 これらの工具の特徴は回転時に瞬時に回転方向に打撃(衝撃)を与えながら回転するため、固く締まったボルトなどを簡単に緩めたり締めたりできることです。電動ドリルやリューターとは異なります。
身近な活躍するシーンで言えば、例えば自動車のホイールナットの取り外しなどでしょうか。自動車店などで行われているのを見たことがあるかもしれませんね。
自動車のホイールを外す際、車をジャッキアップしてタイヤを浮かせますが、浮いた状態だと手動工具でナットを緩めようとすると、タイヤ自体が回転してしまうので、タイヤを固定する必要がでてきます。
そこでこのインパクトレンチを使用すると、回転時に瞬時に衝撃を与えて回転するためタイヤは回転せずナットを緩めることが可能となります。
自転車でインパクトレンチを使用するのは作業の効率化を図るときです。工場やショップなどで大量の作業を行うときにこう言った工具があると素早く作業ができ便利です。
話をもとに戻しますが、先ほどご紹介した『シマノ TL-FC33 アダプター取付け工具』はインパクトレンチ用工具です。
この工具の中心部分の差し込み穴は差し込み角12.7mmとなっております。対応のインパクトレンチを取り付けします。
この差し込み穴に手動工具であるボックスレンチ等を取り付けすることも可能といえば可能ですが、BBを回転させるためには工具を車体方向に押し付ける必要があります。
ボックスレンチ等の場合、力の掛かる位置関係から工具自体がBBから外れてしまいやすくBB表面に傷をつけたりフレームにレンチをぶつけてしまう可能性があります。
また固くしまったBBを回転させるときに工具が外れてしまうと怪我の恐れもありますのでボックスレンチ等との組み合わせはおすすめできません。
画像をご覧いただくとよくわかると思いますが、BBと接触する部分の幅も狭く、斜めに力が掛かると簡単に工具がはずれてしまうのが想像できるかと思います。インパクトレンチの場合はピストル型の工具を車体方向に押し付けながら作業できるので問題なく作業できます。
また、差し込み穴ではなくモンキーレンチ等で回す場合は二面幅が32mmの工具が必要です。モンキーレンチの場合は32mmまで開く大型の物となり、自転車用工具の場合はヘッドスパナで対応できますが、これらの工具は先ほどのボックスレンチの時よりもさらに押し付けながらの作業はグラグラしてやりにくく、難しくなります。
やはり手動で作業する場合は一番最初にご紹介させていただいた手動用工具『TL-FC36』がおススメです。
どうしても『シマノTL-FC33 アダプター取付け工具』を手動で作業したいという場合はシマノ純正の下記のハンドル工具との組み合わせがおススメです。
シマノ [TL-MH10]マルチハンドルレンチ | ||||
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この工具は画像のようにハンドル部分が内側方向にオフセットされておりますので通常のボックスレンチのような真っすぐな形状のハンドルと比較すると安定感があります。
②外形サイズが中間のモデル(φ41mm)用(SM-BBR60, BB-MT800に対応)
【SHIMANO】(シマノ)TL-FC25 アダプター取り付け工具 | ||||
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この工具はサイズを変換するアダプターとなっており、冒頭でご紹介した『TL-FC36』 や『TL-FC32』と組み合わせて使用します。
BBを単品でご購入された場合はアダプターは付属で付いてきますので、別途購入する必要はありません。
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この工具は外形サイズが中間のモデルに対応したインパクトレンチ用の工具です。先ほどご説明させていただいた<インパクトレンチとは?>と共通の内容となります。
③外形サイズが一番小さいモデル(φ39mm)用(BB-R9100, SM-BB93に対応)
SHIMANO TL-FC24 BB-9000用アダプター取付け工具 | ||||
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この工具はサイズを変換するアダプターとなっており、冒頭でご紹介した『TL-FC36』 や『TL-FC32』と組み合わせて使用します。
BBを単品でご購入された場合はアダプターは付属で付いてきますので、別途購入する必要はありません。
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この工具は外形サイズが一番小さいモデルに対応したインパクトレンチ用の工具です。先ほどご説明させていただいた<インパクトレンチとは?>と共通の内容となります。
<圧入式タイプBB用取り付け工具(Press-fit プレスフィット)>
シマノ製プレスフィットBBには外径サイズが2種類存在いたします。一般的な外径41mmのモデルと稀に存在する外径42mmのモデルです。
詳しくは『B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ⑦ シマノ Press Fit BB プレスフィットBB』をご参照ください。
シマノ TL-BB12 Press-fit ボトムブラケット取付け工具 | ||||
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この工具でシマノ製プレスフィットBBの2サイズとも取り付け可能です。
ちなみに取り付け時の注意点として、両サイドのBBパーツを両側とも一気に取り付けようとすると、どちらか一方、もしくは両方ともがフレームに対して斜めに傾いて入っていってしまう場合があります。
この場合はフレームの破損やBBの不具合につながるため、無理にそのまま圧入しようとせず、一旦 取り外してきちんと平行に入るようにやり直す必要があります。
こういった斜めになってしまうのを防ぐ方法としては、BBを両側とも一気に取り付けるのではなく、片側ずつ取り付ける方法です。片方は工具のみをフレームの最適な位置に合わせてフレームに当てておいてもう片方のBBを圧入する方法です。
この方法ですときちんと平行に入るように確認しながら位置の微調整もできるため安心して圧入できます。
BBもそうですがヘッドパーツの圧入に関しても両側を一気に圧入しなければならないという決まりはありません。むしろ安全に圧入するために、それぞれ別々に圧入したほうが良いです。
プレスフィットBBの取り外し時には下記の工具を使用します。
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プレスフィットBBは圧入式ですので取り外し時には内側から叩いて取り外すこととなります。上記のような工具を用いてハンマーで叩いて取り外しますが、圧入の固さによっては叩いた衝撃でBB自体が破損してしまう場合があります。
BBと工具の引っかかり具合が要となりますので慎重に作業する必要があります。
< シマノ純正 HOLLOW TECHⅡ(ホローテック2) クランク取り付け工具>
ここでクランクを取り付ける際に必要な工具もご紹介いたします。
シマノ TL-FC16 クランク組立工具 ホローテック2用 | ||||
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クランク取り付け時にクランクキャップ(クランクボルト)取り付ける際に使用する工具です。このボルトはあくまでもクランクの回転具合(BBのベアリングの玉当たり)を調整する部分ですので必要以上に強く締める必要はありません。
クランクを左右に揺さぶってみてもガタが無く、なおかつ回転がスムースに回るように締め付ければそれ以上に強く締める必要はありません。
こちらの工具はクランクセットをご購入された場合には付属で付いてきますので別途購入する必要はありません。
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この工具はTL-FC16の豪華版といったところでしょうか。 TL-FC16は樹脂製なのに対してこちらの工具は金属とゴム製のハンドルとの組み合わせとなっております。一見ただの豪華仕様に感じるかもしれませんが、じつはとても重宝する場面があります。
クランクの使用状況にもよりますが、走行時の衝撃などによりクランクキャップが固着してしまっている場合があります。固く固着している場合は樹脂製のTL-FC16では外せない場合があります。そんな時にこのTL-FC18はしっかりとフィットし、なおかつゴム製のハンドルに力が入りやすく安全に作業ができます。
というわけで今回は『HOLLOW TECH Ⅱ(シマノ ホローテック2) BB取り付け工具 まとめ シマノ純正編』についてお話いたしましたがいかがでしたでしょうか?
次回は、シマノ ホローテック2(HOLLOW TECH Ⅱ)用工具として開発された社外品の工具についてご紹介してみたいと思います。
社外品にはさまざまアイデアや試行錯誤、コストパフォーマンスの高い商品等もあって工具好きな方にとっては見ているだけでもけっこう楽しめたりします。