こんにちは、だいごろうです。
今回は自転車のボトムブラケット(BB)の種類について考えていきたいと思います。
第6回目は『B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ⑥HOLLOW TECH Ⅱ(シマノ ホローテック2)その①』です。
②シマノの第3世代のBB ホローテック2
このタイプのBBはそれまでのBBの概念を根本的に覆す画期的な構造のBBでシマノから生み出された全く新しい規格のBBです。
2003年モデルから発売が始まりましたが十数年過ぎた現在でも現行の規格で現代のスタンダード的な存在となっております。これだけ長い期間、第一線で使い続けられているBBは大昔から続く四角軸以来の大ヒット作品です。
現在の自転車業界ではこの規格を基準として圧入式にしたタイプやシャフトの太さやベアリング受け部分のフレームの形状や幅を変える等の様々なモディファイが繰り返されております。
シマノ ボトムブラケット SM-BBR60 BSA 付属/TL-FC25 | ||||
|
<HOLLOW TECHⅡ BBの特徴>
①構造
このBBの登場前までは各ブランドともBBのベアリングはフレームのBBシェルの中に収まっていました。回転効率に頼らず、剛性面を追及した結果、オクタリンク等のシャフトの太いモデルが登場しました。
しかしその反面、ベアリングの球の直径は小さくなりベアリング自体の負担は大きくなりました。また更なる高剛性化を求めたとき、フレーム収納式ではシャフトの太さに限界がありました。
ここでシマノ、ホローテック2はベアリングをフレームの外に出すという新たな発想によりシャフトを一気に太くすることが可能となりました。また、フレームに対してシャフトをフレームの外側から広い幅で支えることで一気に剛性がアップ、さらに軽量化にも成功しました。まさに目からうろこの構造です。
この構造になりこれまでの四角軸やオクタリンクタイプのBBに比べシャフトの太さが太くクランクとの嵌合(かんごう)部分の面積も大きくなっていることから、BBとクランク間で生じるネジレに対して強くなり、パワーロスが少ない構造となっております。
このようにすることでベアリングの回転効率に頼るのではなく、剛性面で漕ぐ力をより効率的に伝達することが可能となりました。
対応するクランクもそれまでの標準だった左右のクランクアームをBBシャフトでつなぐという3ピース構造を排し、右クランクとシャフトを一体構造とすることで2ピース構造となりました。これによりさらに軽量化と高剛性化を図りました。
シマノ(SHIMANO) FC-R8000 50X34T 170mm 11S IFCR8000CX04 | ||||
|
HOLLOW TECHⅡクランクの登場とほぼ同時期に競合他社からはBB30と呼ばれるほぼ同構造の2ピースクランクが発売されておりますが、こちらとはシャフトの太さが異なり互換性はありません。(シマノホローテック2はシャフトの太さがφ24mmにたいしてBB30はシャフトの太さがφ30mmで組み合わせは不可)
各メーカー間の互換性についてはφ24mmクランク及びBBは様々なメーカーから発売されておりシマノ以外のブランドパーツとの組み合わせも可能です。
RaceFace Ride XC 22 / 36tバイククランクSZ 170 mm | ||||
|
TOKEN(トーケン) TK877TBT BB Road/MTB TK877TBT レッド JIS(68) | ||||
|
注意(異なるブランドでの組み合わせは構造的に使用は可能ですが、メーカー自体は自社ブランド同士での組み合わせを推奨しております、あくまで自己責任にてご使用お願いいたします。)
一見、φ24mmと表記されている部品でも中には組み合わせが不可能なモデルもあります。例えばSRAMのGXPシリーズのクランクはシャフトのサイズが右側はφ24mmですが左側のベアリングと接する部分はφ22mmとなっております。当然GXP用のBBもそれに適合したサイズとなっております。
②種類(サイズ)
シマノから発売されているホローテック2 BBには大きく分けて5種類の外径サイズが存在します。まずは最初に発売されたホローテック2モデルであるDURA ACE 7800用の『SM-BB7800』とXTR用の『SM-BB90』
この2モデルが現在まで続く標準的な外径のモデルの先駆けとなっております。この外径モデルが現在でも下位グレードでは標準のサイズとしてラインナップされております。
シマノ ボトムブラケット [BB-RS500B] 68mm BC1.37 EBBRS500B | ||||
|
次に、プレスフィットタイプのモデルが2種類、取り付け幅はそれぞれ異なりますが、外径は同じ41mmのマウンテンバイク用モデルとロード用モデルがあり、MTBモデルとして外径が42mmのモデルが1種類あります。
41mmモデルの初期モデルの品番は『SM-BB71-41A』,『SM-BB71-41B』ですが、その後モデルチェンジを繰り返しており、現在は違う品番が発売されております。42mmモデルは『SM-BB91-42A』というモデルです。
詳しくは『B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ⑦ シマノ Press Fit BB プレスフィットBB』をご参照ください。
シマノ SM-BB92 41B プレスフィットBB ロード用 SM-BB92 | ||||
|
現在(2018年)は、ねじ込みタイプのBBには外径が3種類存在しております。
ロード用
DURA ACE 『BB-R9100』 外径が一番小さい φ39mm
ULTEGRA 『SM-BBR60』 中間の大きさ φ41mm
Tiagra 『BB-RS500』 外径が一番大きい φ44mm
シマノ ボトムブラケット SM-BBR60 BSA 付属/TL-FC25 | ||||
|
MTB用
XTR 『SM-BB93』 外径が一番小さい φ39mm
XT 『BB-MT800』 中間の大きさ φ41mm
SAINT 『SM-BB80』 外径が一番大きい φ44mm
DEORE 『SM-BB52』 外径が一番大きい φ44mm
SHIMANO(シマノ) BB-MT800 BSA シェル幅:68/73mm BB-MT800 | ||||
|
これらの合計で外径別に分けると5種類が存在しております。取り付けにはそれぞれ専用の工具やアダプターが必要となります。
取り付け工具に関しては『HOLLOW TECH Ⅱ(シマノ ホローテック2) BB取り付け工具 まとめ シマノ純正編』をご参照ください。
この外径の違いにより、各社の異なる規格のフレームへの対応や軽量化等のメリットがあります。
いずれのBBにしてもシャフトサイズはすべてφ24mmとなります。
というわけで今回は『B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ⑥HOLLOW TECH Ⅱ(シマノ ホローテック2)その①』についてお話いたしましたがいかがでしたでしょうか?
次回ではHOLLOW TECH Ⅱの良い点や弱点、アフターパーツ等について20年間のショップ勤めで経験してきたことも含めて解説していきたいと思います。
♦ まとめ ♦
①シマノが考案した新しい概念の規格。四角軸以来の大ヒット商品。現在の自転車界のベース的な規格となっている。
②φ24mmシャフト対応であれば他メーカーの商品とも互換性がある。
③シマノ純正で5種類の外径サイズのBBが存在する。
⇒ B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ⑥HOLLOW TECH Ⅱ(シマノ ホローテック2)その②
B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ⑤ TRUVATIV Power Spline パワースプライン ⇐