C カンチレバーブレーキ(cantilever brake) カンチブレーキについて考える。その② メリットとデメリット 調整について

こんにちは、だいごろうです。

今回は自転車のブレーキの一種であるカンチブレーキについて考えていきたいと思います。

『C カンチレバーブレーキ(cantilever brake) カンチブレーキについて考える。その② メリットとデメリット 調整について』です。

それでは『C カンチレバーブレーキ(cantilever brake) カンチブレーキについて考える。その① カンチブレーキとは?』に引き続き『カンチレバーブレーキ』について考察してみましょう。

カンチブレーキのメリットとデメリット

カンチブレーキのメリットとしてはブレーキを構成しているパーツとタイヤのクリアランスが大きいこと、他のブレーキに比べて比較的軽量なこと、制動力が高いことなどがあります。

デメリットとしてはブレーキの左右への張り出し量が比較的大きいこと、後に登場したV ブレーキに比べて制動力が低いこと、熟練したメカニックでなければ調整が難しいことなどが挙げられます。

しかしながらより突き詰めていくとカンチブレーキのメリットは数多く存在します。例えばシクロクロスの自転車に関しては現在でもカンチブレーキが採用されております。

これにはタイヤとのクリアランスが大きいというメリットもありますが、さらにブレーキの制動力自体も弱すぎず強すぎず丁度良い(またはコントロール性が良い)という要因もあります。

シクロクロスに関しては人工的に作られた泥の多いコース(水が撒かれている)場所でのブレーキングキングが多いことから V ブレーキのように制動力が強いとブレーキが効き過ぎてしまいタイヤがスリップして転倒する可能性があります。そこでカンチブレーキが人気となります。

またシクロクロスでは自転車を担いで走る場面も多いことから軽量さが重要となりディスクブレーキよりも軽量なカンチブレーキは人気があります。

by カエレバ

カンチブレーキの調整

カンチブレーキは調整範囲が非常に広く様々な状況に対応して取り付けることが可能ですが逆に言うと幅広く調整が可能なため何がベストな状態なのかが把握しづらく熟練のメカニックでなければベストなセッティングができないという状況が多々あります。

ここで一般的に取り扱うことの多いミディアムプロファイルのカンチブレーキの調整のコツをお伝えいたします。これは実際に私が20年間のサイクルプロショップでの経験に基づいたお話ですのでご参考にしていただければ幸いです。

ブレーキシューの出代について

(画像はブレーキシューの出代の位置、赤丸の範囲の長さで制動力が変化する)

キャリパー本体にブレーキシューを取り付ける際、ギロチンタイプのブレーキシューの場合はその取り付け位置で大きくセッティングを変えることが可能です。

傾向としてはブレーキシューの出代を大きくするとテコの原理により制動力は強くなりますがブレーキレバーを握った感触はグニャッとなります。これはブレーキシューとキャリパーとの距離が離れたことによりしなりが発生しダイレクト感が減少するためです。

逆にブレーキシューの出代を小さくすると制動力は弱くなりますがブレーキレバーを握った感触はカチッとなります。ここのダイレクト感と制動力とのバランスには好みもありますが調整にはそれなりの経験が必要です。

ブレーキの音鳴りについて

  カンチブレーキはリムブレーキですが比較的、音鳴り(キーッ!!という音)が発生しやすいブレーキです。

 ブレーキの音鳴りは根本的には振動が原因となりますが、カンチブレーキの場合はブレーキシューとブレーキ本体のしなり具合やリムとブレーキシューとの摩擦時の滑り具合などから振動が発生しキーッ音が発生します。

対策としてはリムに対してブレーキシューに角度を付けて取り付けることである程度は改善します。ですが車体やブレーキの組み合わせによっては改善が不可能な場合もあります。

また雨などでリムが濡れている場合や天気が悪く湿度が高い日などはリムが濡れていなくてもキーッ音が発生します。

ブレーキシューに角度を付けるということを具体的に説明いたしますと、リムの回転の進行方向に対してブレーキシューの取り付けをトーインまたはトーアウトとして角度を付け、ブレーキシューがリムと接触する際の当たり面に前側もしくは後ろ側にわざと隙間を開けるようにして取り付けることです。

(リムにブレーキシューが接触した状態、シュー前側はリムに接触しているのに対して後ろ側には2mmぐらいの隙間があることに注目、これがトーインの状態、トーアウトはこの逆で前側に隙間がある状態)

ブレーキシューに角度をつけすぎると実際にブレーキをかけた際のリムとの接触面積が減り制動力が低くなる場合がありますので角度の付け具合には注意が必要です。

おすすめの角度はブレーキシューの前後どちらか側がリムに接触した時に隙間のある側は約1mm~2mm程度の隙間ができるようにすることです。

まずはトーインにして調整し、音鳴りが改善しなければトーアウトで調整してみます。どちらでも改善しない場合は比較的マシな方に調整します。

カンチブレーキの調整の際に気をつけなければならないこと

カンチブレーキは仕組み上ブレーキシューとリムとの距離(隙間)を大きく確保することが難しいことからリムに横ブレが発生するとブレーキにリムが擦れる原因となります。

 さらにブレーキキャリパーを取り付けているピボット(回転軸)がブレーキシューよりも下側にあるためブレーキが開いている状態(ブレーキを掛けていない状態)の時はブレーキシューとタイヤのサイド部分とが接近します。

リムに縦ブレが発生していた場合にはタイヤとブレーキシューが当たってしまいそのまま走行するとタイヤが破れる原因となります。

調整後は必ず車輪を回転させタイヤに接触していないか確認する必要があります。またクリアランスが少なめな場合などは可能であれば実際に試乗して確認した方がよいです。

なぜならコーナーリング時には 車輪は自転車に対して起き上がった状態になるのでそのタワミ具合でタイヤに接触する場合があるからです。

 上記のことを考慮するとリムに対するブレーキシューの高さ調整が重要となってきます。

しかしここで気を付けなければならないのはリムに対してブレーキシューを低くセットしすぎた場合は実際に走行してブレーキシューが消耗してくるにつれてブレーキシューはどんどんリムの下側に向かって接触していくこととなります。

元々低めにセットしていた場合には最終的には車輪の内側(リムより下)にブレーキシューが落ち込んでしまう原因となります。 

またカンチブレーキはワイヤーやブレーキシューなどパーツを固定する箇所が多いことからネジの閉め忘れや適正な締め付けトルクでの取り付けが必要不可欠です。万が一ワイヤーの固定に緩みが発生すると事故につながりますので調整時には必ず最終確認してください。 

シクロクロス車に関して

最後にシクロクロス車でのフロントブレーキのビビリ(振動による車輪の浮き上がり)についてお話したいと思います。

実際にレースに使用する競技車両を数多く取り扱ってきた私はシクロクロス競技車両のフロントブレーキの調整に苦戦した経験があります。

シクロクロスでは担ぎが多いことから軽量のフォークを好むライダーが多く特にカーボン製の軽量フォークが人気です。これらのフォークの中にはステアリングコラムやクラウン部分自体もカーボンで作られているとても軽量な製品も存在します。

しかし気をつけなければならないのはこれらのフォークにカンチブレーキを組み合わせた場合、ブレーキングの際にフォーク自体に大きなしなりが発生し、振動となってしまい進行方向に対してピッチング(上下に揺れること、縦揺れ)が発生する場合があります。

ひどい場合はこのピッチングが非常に大きく、フロントブレーキをかけた際に車輪が振動で浮いてしまいタイヤが地面の上を跳ねるようになってしまうことがあります。

この現象でお困りになっていたお客様の自転車を何台か調整を試みたことがありますが結果的に最善な調整方法が見当たらない場合がありました。

実際この現象が起きている車両を私が試乗しアスファルトの下り坂で時速30 km ぐらいでフロントブレーキをかけます。すると先ほどのピッチングが発生しフロントタイヤが浮き上がり跳ねるため自転車の制動力が極端に減少しそのまま20 mぐらいスタタタタタッと自転車はほぼ減速せずに走り走り続けます。 

アスファルトの上でこのような状況になりますから実際にシクロクロスのコース上の砂や泥のコンディションではブレーキングでの減速どころかバランスを崩し転倒につながってしまう原因となります。

対策方法としてブレーキシューの角度の調整はもちろんのことブレーキシューのコンパウンドの変更 、ブレーキキャリパー自体の変更、車輪の変更、ヘッドパーツの変更、カーボンコラムのアンカーナットの変更等考えられる様々な方法を試みてみましたが解決しない車両もありました。

軽量なカーボンコラムのフォークの場合、金属製のアンカーナットではなくコラム内部で広がるタイプの取り外し可能なアンカーナットを採用しているフォークもありますが、この現象が発生した場合にはアンカーナット自体をフォークに接着して固定する方が多少なりとも振動を軽減する効果が期待できます。

このピッチングの現象に関しては大手自転車ブランドからの相談をいただいたりもしましたが根本的な解決策は見当たらず不本意ながら適切な処置をご提案することができないこともありました。

この現象の原因はおそらくフロントフォークの剛性不足にあると考えられます。一般的なロードバイクの場合、ブレーキはフォークのブレイズ部分の取り付け穴に差し込んで固定します。ブレイズ部分はとても太く剛性が高い部分ですからここでブレーキの力を受け止めても特に振動は発生しません。

またディスクブレーキの場合は強度も必要なことからフォーク自体の剛性が高いこととキャリパーの固定位置がフォーク先端にあるため車輪の軸にとても近い位置関係にあることから振動が発生しません。

シクロクロスのカンチ台座はブレイズでもなくフォーク先端でもなくその中間地点にあります。カーボンフォークなどのもともとしなりが発生しやすい素材を用いた中でも特に軽量なフォークはこの中間地点でブレーキの力を受け止めるとそこから下のフォーク先端が前後に振動しピッチングが発生する場合があります。 超軽量なフォークをお選びの際はこれらのことを念頭に入れて考える必要があります。

そこでおススメの商品を下記にご紹介いたします。フレームやブレーキの組み合わせ等が無限に考えられるので組み合わせによって絶対に振動が発生しないとは言い切れませんが、私が見てきた中で比較的安心してご使用いただける商品かと思います。

とくにOBS-CBC クロスベントカンティカーボンはアルミコラムとアルミクラウン、剛性の高いカーボンの組み合わせで特に安心してご使用いただけるフォークかと思います。

【・下記のフォークは剛性面に配慮した設計のフォークとなっております。】

by カエレバ

『実戦での勝利が最多のcxカンティモデル。多くの一流ライダーが内外のシクロクロスレースシーンで使用し実績を残したモデル「obs-c1」を剛性面を主体に煮詰めて進化させたロングセラーモデル。国内トップレースや世界選手権での実積も豊富。』

by カエレバ

『アルミコラムとアルミクラウンの採用で安心して取り付けられるフォーク。3種類のオフセット 45・48・52の設定があり様々なバイクにベストな状態で対応可能 』

で、実際シクロクロスのトップライダーのブレーキを触ってみると驚いたことにほとんどブレーキが効かない状態の選手もいます。彼らは自転車を操作するテクニックに長けており ブレーキに振動が発生するぐらいにブレーキに制動力が無くほとんどブレーキが効かなかったとしてもとくに問題ないようです。(笑) ですが一般の方にはこれはあてはまりませんね。(汗)

というわけで今回は『 C カンチレバーブレーキ(cantilever brake) カンチブレーキについて考える。その② メリットとデメリット 調整について』についてお話いたしましたがいかがでしたでしょうか?

♦ まとめ ♦

①カンチブレーキはタイヤクリアランスが大きく泥つまりに強い。

②ベストなセッティングで調整するには知識と経験に基づいたコツが必要。

③シクロクロス用のカーボンフォークの場合、振動(ピッチング)発生する場合がある。

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