C チェーン(CHAIN) 種類や規格が複雑!? 自転車のチェーンについて考える。その③  9段変速 9speed チェーンとは?

こんにちは、だいごろうです。

今回は自転車のチェーン(CHAIN)について考えていきたいと思います。

『C チェーン(CHAIN) 種類や規格が複雑!? 自転車のチェーンについて考える。その③  9段変速 9speed チェーンとは?』です。

それではC チェーン(CHAIN) 種類や規格が複雑!? 自転車のチェーンについて考える。その②  UG ・ HG ・ IGチェーンとは?に引き続き『9段変速用チェーン』について考察してみましょう。

目次

『9段変速の登場』

1996年、シマノのロード用コンポーネントの最高峰モデル『DURA ACE』はそれまでの8段変速の後継モデルとして新しく9段変速となりました。

また1998年には『Ultgra』ついで1999年には『105』も9段変速化されました。

マウンテンバイクは1999年『XTR』『Deore XT』『Deore LX』の3グレードが一気に9段変速となり。『Mega-9』というキャッチフレーズが付けられました。

9段変速化したことでロード、マウンテンバイクともにリアスプロケットの歯数間の差が小さくなりよりスムースで変速ショックの少ないシフトチェンジが可能となりました。

またマウンテンバイクにおいては8段用XTRの一番幅の広いスプロケットは12-32Tだったのに対し、9段用XTR12-34Tとロー側が2T増え、よりきつい角度の坂でも上りやすくなりました。

ことXTに至っては8段時は一番幅広いスプロケットは11-30Tでしたが9段用は11-34Tと4Tも増えたので一気にワイドレンジとなり、特にクロスカントリーなどでとても重宝されるようになりました。

『9段変速のチェーン』

(画像はDURA ACEとXTR共用の最上級グレード CN-7701)

9段変速用のチェーンはそれまでの8段変速用のチェーンに比べ、幅が狭くなっております。これは8段変速用のリアスプロケットと同じスプロケット全幅内に9枚のギアを入れるという設計を採用しているからです。

これによりギアとギアの歯間を狭くし、チェーン自体の幅も狭くすることで対応しています。また、8段用のハブと9段用のハブは共通のフリーボディーサイズとなっており、8段から9段へのグレードアップ等の移行がスムースに行えるようになりました。

(画像は8段最終のXTR FH-M910)

(画像は9段XT FH-M750 )

フリーボディの寸法はさきほどのXTR FH-M910と同じ 9段変速に関してはロード用ハブもMTB用ハブもフリーボディの寸法は同じ。(つまりMTB用ハブにロード用スプロケットを取り付け可能、その逆も可能)

現在入手可能なシマノ製9段変速用チェーンはULTEGRA及びXTグレードにあたる『CN-HG93』と下位モデルにあたる『CN-HG53』です。

(SHIMANO) シマノ CHAIN チェーン CN-HG93(9スピード 118L)
by カエレバ
SHIMANO シマノ CN-HG53 114L チェーン 9速
by カエレバ

『9段用チェーンのサイズ』

9段用チェーンは『Super Narrow HG(スーパーナローHG)』と呼ばれ、それまでの6,7,8段用の『Narrow(ナロー)』とはサイズが異なります。

サイズは外幅6.6mm、内リンクプレート間の寸法(以下 内幅)は2.2mmです。

『互換性』

チェーンの幅及びリアスプロケットのギアとギアとの間隔が異なっているため、9段用チェーンはその他の段数のリアスプロケットとの互換性はありません。

9段用チェーンは9段用リアスプロケットのみ使用可能です。

ここで9段登場にともなって他の段数の部品との組み合わせ(互換性)に関して疑問をお持ちの方も多いかと思いますので、その他の部品との互換性についても少し触れてみたいと思います。

『7、8、9段変速のシフトレバーの互換性』

「リアの互換性」

さきほどお伝えした通り、9段のリアスプロケットは8段用のリアスプロケットと同じ全幅となっております。ですので変速レバーのレバー比が8段用と9段用では異なっております

より分かりやすくご説明いたしますと、変速レバーを1段カチャっと操作した際にリアディレイラーが横方向に1段分移動しますが、この移動量が8段と9段では異なっております。

ですので8段用のリアシフターと9段用のリアシフターの互換性はありません

逆に言うと、7段、8段用のリアシフターはそれぞれの別の段数のリアディレイラーと組み合わせることが可能でした。

例えば、7段スプロケットの自転車に8段用のシフトレバーを組み合わせた場合は7段分しか操作できなくなるだけで使用すること自体は可能。その逆、8段スプロケットの自転車に7段用のシフトレバーを組み合わせた場合も7段分で使用自体は可能。

つまり9段用リアシフトレバーは9段スプロケットのみと組み合わせが可能。のちの10段変速ともレバー比が異なるため互換性はありません。

リアディレイラーに関しては8段用と9段用とでは主にプーリーのサイズが異なっております。(例えば8段用のXT RD-M739のプーリーは10Tなのに対して9段用のXT RD-M750のプーリーは11T)

プーリーとリアスプロケットの距離等の関係から、例えば9段スプロケットに8段のリアメカでは変速はスムースに行えません。逆に8段用のスプロケットに9段用のリアメカの場合は比較的スムースに変速します。

「フロントの互換性」

フロントに関しては7、8、9段とも、レバー比は同じですが組み合わせには注意が必要です。(メーカー的には互換性は無し。)

ここから先のお話は20年間の私のプロショップでの経験をもとに互換性を試してみた結果をお伝えいたします。ですのであくまでもご参考程度にお考え下さい。メーカー的には互換性無しとなります。

組み合わせてのご使用でのトラブルは当方では負いかねます。あくまでも(自己責任)です。

まず、お伝えしている通り、6,7,8段用チェーン(Narrow)と9段用チェーン(Super Narrow)とはチェーン自体の全幅が異なっております。ですので対応するフロントディレイラーのプレートの間の寸法が異なっております。

9段用の方が8段用よりプレート内幅が狭くなっております。

また、クランクに付属のフロントギアの間隔も異なっております。これはつまり、8段用のギアと9段用のギアとではオフセットが異なりギア板をクランクに取り付けた際のギアの歯と歯の間の距離が異なっております。

(画像はXTグレード FC-M760用のギア板)

間隔が異なっておりますが、実際に全く使えないかというとそうでもない場合もあります。ここで注意が必要です。

【クランクとチェーンに関して】

例えば、9段用のクランクに8段チェーンを組み合わせると9段クランクはギアとギアの間の隙間が狭いため、チェーンが隣のギアに擦れてチャラチャラと音がする場合があります。ですが全く使えないかというとそうでもありません。

逆に8段用のクランクに9段用のチェーンを組み合わせると8段クランクはギアとギアの隙間が広いため、使用状況によってはギアとギアの間にチェーンがはまり込むトラブルが発生します。また変速時には隣のギアが遠いためスムースな変速とはなりません

7、8段クランクと9段用チェーンの組み合わせ ×
9段用クランクと8段用チェーンの組み合わせ

【フロントディレイラーとチェーンに関して】

7、8段用フロントディレーラーに9段用チェーンを組み合わせた場合、フロントディレイラーのプレートの間隔が広いため、変速時にチェーンをきちんと押し切れず、変速しずらい状態となります。

また隙間が広いのでアウターリングから外にチェーンが外れたり、インナーリングよりも内側にチェーンが外れる場合があるのでおすすめできません。

9段用フロントディレーラーに8段用チェーンを組み合わせた場合、アウタートップやアウターローまたインナートップやインナーローなどのチェーンが左右プレートに一番近づく状況でチェーンがプレートに擦れて音がします。ですが全く使えないかというとそうでもありません。

7、8段フロントディレイラーと9段用チェーンの組み合わせ ×
9段用フロントディレイラーと8段用チェーンの組み合わせ

この様に異なる段数のパーツの組み合わせの場合、全く使えないという訳ではありませんが、最も快適で安全な組み合わせはすべての部品を9段変速用で統一した組み合わせです。他の段数との部品の組み合わせに関してはリスクもありますのでおすすめではございません。

というわけで今回は『C チェーン(CHAIN) 種類や規格が複雑!? 自転車のチェーンについて考える。その③  9段変速 9speed チェーンとは?』についてお話いたしましたがいかがでしたでしょうか?

それでは、次回は10段変速のチェーンについてご説明したいと思います。

♦ まとめ ♦

①9段用チェーンはその他の段数のチェーンと幅が異なり互換性は無い。

②ロード用、マウンテンバイク用の区別はなく共通のチェーンを使用する。

③9段用パーツと異なる段数のパーツの組み合わせはお勧めはできないが全く不可能ではない場合もある。(あくまでも自己責任)

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