B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ②オクタリンク(シマノ オクタリンクタイプ)

こんにちは、だいごろうです。

今回は自転車のボトムブラケット(BB)の種類について考えていきたいと思います。

第2回目は『B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ②オクタリンク(シマノ オクタリンクタイプ)』です。

シマノの第2世代のBB オクタリンク

オクタリンクBBとは?

このタイプのBBはそれまで一般的だった四角軸タイプから全く新しい発想と規格によってシマノから生み出された新しい世代のBBです。

このBBの登場以前までは、BBはライダーの漕ぐ力を後輪にいかに効率よく伝えるかをBBの回転効率をアップさせる方向で考えられてきました。BB自体のベアリングのグレードアップや、ベアリング受けの精度を良くすることで回転効率を高め、スムースに回転させることで後輪に効率よく力を伝えるという考え方でした。

シマノが提案した新しい考え方は、ベアリングの回転ではなく、クランク、BB自体の剛性のアップ、つまり、クランクとBBがライダーの漕ぐ力によってねじれてしまうことで生じるパワーロスを防ぐという考え方でした。

オクタリンクタイプのBBはこれまでの四角軸タイプのBBに比べシャフトの太さが太くクランクとの嵌合(かんごう)部分の面積も大きくなっていることから、BBとクランク間で生じるネジレに対して強くなり、パワーロスが少ない構造となっております。

こうすることでベアリングの回転効率に頼るのではなく、剛性面で漕ぐ力をより効率的に伝達するという新しい考え方となりました。この考え方がその後のホローテック2タイプやBB自体の剛性アップ、他社で例えれば『BB30』などへと続く新時代の幕開けとなりました。

SHIMANO (シマノ) BB-7700 DURA-ACE 68mm 109.5mm ボトムブラケット IBB7700B09N
by カエレバ

オクタリンクBBと他メーカーBBとの互換性

このオクタリンクの登場とほぼ同時期に競合他社からはISIS(アイシス)と呼ばれるほぼ同構造のBBが発売されておりますが、こちらとは互換性はありません。(シマノオクタリンクは嵌合部分のスプライン(溝)が8本に対してISISは10本で組み合わせは不可)

各メーカー間の互換性についてはISISのBBはシマノ以外のクランク、BBメーカーから数多く発売されており、別メーカー間での組み合わせも可能でしたがオクタリンクBBおよびクランクはシマノからしか発売されておらず、オクタリンククランクの装着にはシマノ純正BBしか選択肢はありません。

自転車メーカーの歴史的にはこの頃よりシマノ対その他ブランドという互換性の異なるグループの二極化がハッキリと現れだしたかと思います。

オクタリンクBBの種類

オクタリンク V1 ?  V2 ?とは?

オクタリンクBBには大きく2種類のサイズが存在します。まずは最初に発売されたオクタリンクモデルである、『V1』と呼ばれるタイプ、その後に発売された『V2』と呼ばれるモデルが存在します。

『V1』はハイエンドモデルであるDURA ACEとXTR、そしてUltegura、105が存在し、『V2』はその他のグレード、DEORE XT、 DEORE LX、 DEORE、 Tiagra、 Sora等が存在します。どちらもクランクとBBの嵌合部分(はめ合わせ部分)は8枚のスプライン(溝)ですが、そのサイズがことなっており『V1』と『V2』を組み合わせることはできません。

『V1』モデルは当初、分解可能なタイプ『DURA ACE BB-7700』、『XTR BB-M950』が発売され、BB自体を分解して内部のベアリング部分のグリスアップや玉当たり調整が可能となっており、上級モデルとなっておりました。

『XTR BB-M950』は残念ながら現在は入手困難なレアアイテムとなっております。『DURA ACE BB-7700』は現在でも入手可能です。

SHIMANO(シマノ) BB-7700 68BSA NJS 109.5mm BB-7700
by カエレバ

その後発売された『DURA ACE BB-7703』や『XTR BB-M952』、『Ultegra BB-6500』および『105 BB-5500』などは分解はできない構造となっております。

『V2』モデル『BB-ES70』や『BB-ES50』等の(BB-ES系)モデルはすべて分解は不可能なモデルとなっており、一般的なメンテナンスフリーなモデルとなっております。

現在はモデルチェンジのため『BB-ES70』や『BB-ES50』等は廃版となり下記の『BB-ES51』及び『BB-ES300』が後継モデルとなっております。

SHIMANO(シマノ) BB-ES51 68BSA 113mm BB-ES51
by カエレバ
SHIMANO(シマノ) BB-ES300 シェル幅:68mm(BC1.37) 121mm BB-ES300
by カエレバ

分解可能タイプと分解不可能タイプのメリット?デメリット?

分解可能タイプと分解不可能タイプのどちらが良いかは賛否両論あるかと思いますが、私の経験からすると分解可能タイプは比較的内部に水の侵入が多くベアリングの清掃、グリスアップがたびたび必要な場面が多くありました。

特にマウンテンバイク系のXTRに関しては泥の侵入が多いため、使い方によっては頻繁にメンテナンスが必要でした。より回転効率を求めるリアルレーサーは分解可能タイプその他のユーザーには分解不可タイプがおすすめといったところでしょうか。

オクタリンクBBとチェーンデバイスの組み合わせに関して

当時流行した、BB挟み込みタイプのチェーンデバイスの取り付けにはフレームとの接点であるネジ山の多い『XTR BB-M950 軸長116mm』がおすすめです。

『BB-M952』になると右ワンのネジ山の幅が狭くなっており、チェーンデバイスの厚み約3mmのプレートを間に挟むとフレームとのネジ山のかかり具合が非常に少なくなってしまいます。

使用できないことはないですが、チェーンデバイスを取り付けるような用途のマウンテンバイクは激しいライディングが多いので、BBの緩みやフレームのネジ山の破損につながる可能性があります。

同様の理由で(BB-ES径モデル)も右ワンのネジ山の幅が狭くなっており、フレームによってはチェーンデバイスのプレート+スペーサーといった複数挟み込む必要が出た場合はネジ山の不足から取り付けが出来ない場合もありました。

この当時はこのような理由から、個人的にはもしかしたらシマノはマウンテンバイクの下り系なバイクでの使用を推奨していないのではないかと心配しておりましたが、その後のダウンヒルモデル『SAINT』の発売などで安心いたしました。

オクタリンクBBがもたらした未来

このような特徴を持つオクタリンクBBですが、以前の四角軸タイプのBBに比べ、各段に剛性はアップしており、自転車全体の仕組みによる駆動効率はより良くなっていると感じます。

強度面でも、マウンテンバイクのジャンプの着地時の衝撃等によるBBシャフトの破断もほぼ無くなっており明らかに強くなっていると感じます。

ただ、BB単体で考えると、フレームのBBシェルに対してシャフトの直径が太くなっていることから、ベアリングの球自体の直径は小さくなり、その分、球数は一気に増えております。

球数が増えたことでシャフトと球との接触面積が増え、それに伴うグリスの粘着量も増えてしまうため、回転の軽さは四角軸の頃よりも重く感じます。このあたりの問題の解決策、そしてより高剛性なBBとクランクさらに軽量化への取り組みがこの後に発売されたシマノの新時代、『ホローテック2』へと繋がっていきます。

オクタリンクのBB取り扱いの注意点(アドバイス)

ここで、20年間プロショップ勤めで経験してきたことによる私のアドバイスですが、オクタリンクのBBとクランクの嵌め合わせ部分は四角軸のように圧入ではありません。

嵌合はただ溝と溝の位置を合わせているだけです。ですのでクランク取り付けボルトが緩んでしまうと、いとも簡単にクランクが外れてしまいます。ですのでクランク取り付けボルトは緩まないようにシッカリと締め切っておく必要があります。

クランクがBBシャフトにこれ以上入らないようにする為の溝の終わり部分までしっかりと入ってからも、最後に強く締めておくことでクランクの緩みを防止できます。

また、圧入ではありませんので四角軸の時のようにシャフトとクランクの接触部分の滑りによる緩みはありません。

四角軸の時はテーパー部分にグリスを塗ることはお勧めしておりませんでしたが、オクタリンクの場合は異音の排除の為に勘合部分(BBシャフトとクランクの溝部分)にグリスを塗っておくことが好ましいです。この場合のグリスもシマノのプレミアムグリスがおすすめです。

シマノ プレミアムグリス チューブ入り 100g Y04110200
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また、クランク取り付け時に嵌合部分の溝がきちんと合っていないという取り付けミスの可能性があります。

これは特に一般のお客様がご自身で取り付けされた際に起こりやすい現象ですが、クランクとBBのスプライン嵌合がズレており、きちんと奥までクランクがBBシャフトに入っていないにもかかわらず、しっかりと入っているかのようにクランク取り付けボルトが締めている途中で止まるので、最後まで入ったと勘違いしてしまう現象です。この場合は当然クランクは正しく装着されておりませんので危険です。

このミスを防ぐためにDURA-ACEやXTRのようにワンキーリリースのクランクボルトの場合でも、一度ワンキーのキャップを外してから、クランクをシャフトに手で嵌めてみて、目で見てシャフトとクランクの嵌合の溝の嵌めあいを確認してからクランクボルトを取り付けるというのがおすすめです。

またワンキーリリースキャップはクランク取り外しの工具が必要なく、クランクの緩みも防げるという便利な部品ですが、扱い方によってはワンキーキャップの破損が起こる場合もあります。

クランク取り付けボルトを締める際はワンキーキャップは外しておいてクランクボルトをしっかりと締め切ってからワンキーキャップを取り付けること、またワンキーキャップの裏側にしっかりとグリスを塗っておくことがお勧めです。

まれにですが上記の方法で最後にワンキーキャップを取り付けようとした際にクランクボルトとの僅かな位置のズレからワンキーキャップがきちんと最後まで嵌らない場合があります。

この場合はクランクボルトを一度わずかに緩めワンキーキャップを締め付けてからもう一度クランクボルトをしっかりと締めなおしてください。

こうすることで取り付け時には部品自体の精度による取り付け不良やクランク取り外し時のワンキーキャップの破損を防ぐことができます。

ちなみにシマノのワンキーキャップのネジ山は正ネジ(時計方向に回すと締まる)です。シマノ以外のメーカーのワンキーキャップには逆ネジの製品も存在しますので注意が必要です。

ワンキーキャップの取り付け取り外しには下記の工具を使用します。

シマノ TL-FC21 ペグスパナ
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シマノ純正以外のワンキーキャップも存在しますが、私の経験からするとそれらの商品はアルミの素材が柔らかく、ワンキーキャップを利用してクランクを外そうとすると、キャップが破損してしまうことが度々ありました。

これらの商品はあくまでもビジュアル的なアクセントパーツと考えて、実際の作業時にはクランク取り外し工具を使用することをお勧めいたします。

シマノ TL-FC11 コッタレスクランク専用工具 オクタリンク使用可 Y13098210
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というわけで今回は『B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ②オクタリンク(シマノ オクタリンクタイプ)』についてお話いたしましたがいかがでしたでしょうか?


♦ まとめ ♦

①オクタリンクタイプのBBはその他ブランドのISIS規格のBBとは互換性は無い。

②V1 (DURA ACE及び XTR系)とV2 (その他のグレード系)との互換性は無い。

③分解可能タイプは回転のスムースさを調整できる反面、シールド性が弱くメンテナンスが必要。

④クランクとBBの取り付け(嵌合)また、ワンキーリリースには注意が必要。

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⇒ B ボトムブラケット(BB)の種類について考える ③ ISIS(アイエスアイエス アイシス)その①

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