こんにちは、だいごろうです。
今回は自転車のチェーン(CHAIN)について考えていきたいと思います。
『 C チェーン(CHAIN) 種類や規格が複雑!? 自転車のチェーンについて考える。その①』です。
自転車には前ギアと後ギアの間の駆動力の架け橋としてチェーンが用いられております。中にはベルトや紐(ひも)などの車種も存在しますが、これらはごく一部の車種に限られ、ほぼ大半がチェーン駆動となっております。
自転車のチェーンは金属でできており耐久性にとても優れ駆動抵抗も少ない為、効率の良い力の伝達が可能です。
実は金属チェーンは遥か昔、紀元前225年頃から使用されており、とても歴史のある発明品です。当時は井戸の水をくみ上げる際に金属製のリングをつなぎ合わせたチェーンを用いていました。
自転車用チェーンは初期の変速機の無い時代から外装変速機の発明により駆動効率だけでなく変速性能も必要とされるようになりました。
近年では後ろギアの枚数が増えたことによりチェーン自体の幅(厚み)を薄くする必要があり、さらに変速性能の向上を狙った形状と軽量化、強度という相反する要素の中でとてもバランスの良い製品開発が必要とされています。
変速性能の向上=チェーンの歴史と言っても過言ではないかもしれません。それでは自転車のチェーンについて考察してみましょう。
まず初期の自転車にはそもそもチェーンが存在しておらず前輪に直接ペダルを取り付けたいわゆるペニー・ファージング型自転車(だるま車)でしたが、1879年にヘンリー・ジョン・ローソンという英国人が後輪をチェーンで駆動するBicyclette(ビシクレット)を制作したことがチェーン駆動の自転車の始まりとされています。このビシクレットが英語の Bicycle の元となったと言われています。
つまり自転車用チェーンは約140年前から使用されており今日に至る訳です。
『変速機の無い時代のチェーン』
変速機の無い時代のチェーンは強度と駆動効率が一番のテーマとなっておりました。初期の自転車はブロックチェーンと呼ばれる現代とは異なる仕組みのチェーンを用いていました。近年はローラーチェーンという仕組みを用いることで回転と寿命を伸ばし潤滑油の流出を抑えております。
変速無し(シングルスピード)用チェーンは現代では『1/2×1/8インチ』(厚歯チェーン)と呼ばれ主にピスト車や実用車に用いられております。
『チェーンの構造、規格と寸法』
変速用チェーンの説明の前にチェーンの構造と規格、寸法について整理しておきたいと思います。ここを理解することで各変速段数での互換性をより理解しやすくなりますのでぜひご覧ください。
基本的な規格として現代の自転車用チェーンは寸法が『1/2×1/8インチ』(単段伝動)と呼ばれるシングルスピード用と『1/2×3/32インチ』(多段(ディレーラ)伝動)と呼ばれる変速用の2種類があります。
『1/2×1/8インチ』 『1/2×3/32インチ』とは?
この1/2や1/8、3/32という数字はインチ表記で表されております。
まず左側の1/2と書かれているのはチェーンのピッチ(チェーンのピンとピンの間の距離)を表しており1/2インチすなわち12.7mmです。基本的には自転車のチェーンは全てこの1/2(12.7mm)のみです。
次に右側の1/8や3/32と書かれているのはチェーンの内プレートの内側の間の寸法を表しており、この寸法が対応するギアの歯の厚みを表しております。
『1/8インチ』は3.175mmですが日本工業規格(JIS9417)により内プレートの内側の間の寸法は3.3mmとされています。次に『3/32インチ』は2.381mmですが内プレートの内側の間の寸法は2.38mmとされています。
つまり自転車用チェーンはピンとピンの距離はすべて同じですが幅に関しては2種類の内プレートの幅があります。そしてそれぞれに対応した厚みのギアがあります。
『1/2×1/8インチ』用チェーン及びギアとスプロケットは『厚歯』と呼ばれギアの歯の厚みが分厚くなっており『厚歯専用』となります。変速には対応しておらずピスト車や実用車、BMXに使用されております。
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『1/2×3/32インチ』用チェーン及びギアとスプロケットは『薄歯』と呼ばれギアの歯の厚みが薄くなっており外装変速に対応しております。
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つまり厚歯チェーン用のチェーンリングとリアスプロケットは歯の厚みが分厚く薄歯チェーンではギアに嵌らないため使用できません。
ところが、現代はスポーツ車、ママチャリを問わずシングルスピード(外装変速の付いていない)自転車の多くは、じつは厚歯ではなく薄歯のチェーンが使われております。これは厚歯より薄歯の方が軽量にできるためです。
ですのでシングルスピードの自転車でも必ずしも厚歯のチェーンが必要になるわけではありません。というかむしろ厚歯が使われているのはピスト車や実用車、BMXぐらいです。
チェーンの規格としては大まかにはこの2種類ですが、変速用チェーンは変速の段数により互換性が異なります。これは先ほどの変速用『1/2×3/32インチ』(薄歯)チェーンよりもさらに薄い内リンクプレート間寸法のチェーンが登場したことによります。
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例えば8段変速の時代までのチェーンは内リンクプレート間の寸法は3/32インチ(2.4mm)でしたが、9段変速用のチェーンは内リンクプレート間の寸法が2.2mmとなっており、先ほどの2.4mmよりも狭く作られております。ですのでこのチェーンはそれ以前の規格であった6段や7、8段の2.4mm用に作られたギアには厚みが合わず組み合わせることはできません。
さらに10段変速になると内リンクプレート間の寸法は9段チェーン(2.2mm)と同じですが、チェーン自体の外側の幅(アウターリンクプレート間)は狭くなっており、より細いチェーンとなっております。これにより9段、10段間の互換性はありません。
このように時代とともに規格と寸法は複雑な状況となってきました。
変速用チェーンについては次回より詳しく順を追ってご説明していきたいと思います。
というわけで今回は『 C チェーン(CHAIN) 種類や規格が複雑!? 自転車のチェーンについて考える。その①』についてお話いたしましたがいかがでしたでしょうか?
♦ まとめ ♦
①チェーンの歴史はとても古く、自転車用チェーンは140年前から始まっている。
②基本的な規格は『1/2×1/8インチ』『厚歯』と『1/2×3/32インチ』『薄歯』の2種類。
③9段変速以降のチェーンはさらに細くなり各段数ごとに互換性はない。