D 遂に明かされる交換式ディレイラーハンガーの真実!? エンド金具について考える。 その①
こんにちは、だいごろうです。
今回は自転車の交換式ディレイラーハンガー エンド金具について考えていきたいと思います。
スポーツ車等、外装変速機付きの自転車には、フレームの一番後ろの部分に変速機の取り付け部分があります。
一般的にこの部分のことをディレイラーハンガーもしくはエンド金具と呼んでいます。
近年の自転車はクロモリフレームやチタンフレームを除きほぼ大半の自転車がディレイラーハンガーの取り外しが可能なモデルが多く、ディレイラーハンガーが曲がってしまったり、破損してしまった場合には交換できるようになっています。
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現代ではシマノのシャドーデザインの変速機のようにリアディレイラー自体のフレームからのせり出し幅が小さくなったことから変速機をぶつけてディレイラーハンガーを曲げてしまうトラブルは少なくなりましたが、シャドーデザインの登場前はどうしても転倒等で変速機をぶつけてしまい、ディレイラーハンガーを曲げてしまうトラブルがよくありました。
このディレイラーハンガーはそういったぶつけるなどの現象が発生した際にわざと曲がるようになっていることで変速機自体やフレーム自体が曲がってしまうトラブルを避けるように考えられています。
もしもディレイラーハンガーが曲がってしまった場合には、エンド修正器という専用工具で曲げなおし再び使用可能にすることができます。また、あまりに大きく変形してしまった場合や、折れてしまった場合には、ディレイラーハンガーを新しい物に交換することで再び走行可能になります。
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では一見、とても便利で最高の仕組みのように思えるこの交換式ディレイラーハンガーですが、時と場合によっては返って不便な場合もあります。それでは交換式ディレイラーハンガーのメリットとデメリットを順番に見ていきましょう。
『交換式ディレイラーハンガーのメリットとは』
メリットその① 転倒等で変速機をぶつけてしまった際にディレイラーハンガーが曲がることによって、変速機、フレームを保護する。
メリットその② 曲がってしまったディレイラーハンガーはエンド修正器という工具で修復が可能。
メリットその③ 曲げなおしでの修復が不可能な場合は、新しいディレイラーハンガーに交換することが可能。
ではディレーラーハンガーのデメリットとはなんでしょう?ついに明かされる交換式ディレイラーハンガーの真実とは???
ここからは僕が20年間のプロショップ勤めで実際に経験してきた知識と僕自身の実体験をもとにデメリットを挙げていきたいと思います。ディレイラーハンガーのデメリットについてはあまり一般的に語られることも少ない内容かと思いますのでここで一気に掘り下げてご説明したいと思います。
『交換式ディレイラーハンガーのデメリットとは』
デメリットその① そもそも新品の状態で交換式ディレイラーハンガーはフレームにきちんと平行になるように装着されていない。
どういうことかと説明しますと、元来、自転車の変速機(リアディレイラー)はスプロケット(後ろのギア)の真下に位置し、スプロケットのトップ側からロー側(小さいギアから大きいギア)までの間をスプロケットの歯に対して平行に横移動することでチェーンを次から次にと変速させる仕組みです。
その仕組み上、最高の変速性能を得るためにはリアディレイラーをスプロケットと完全に平行になるように配置しなければなりません。平行でなくズレて配置してしまうとそのズレ具合にもよりますが変速性能は落ちてしまいます。
ところが、新品のフレーム、新品のディレイラーハンガーとの組み合わせ、つまり新車の状態でも、僕の経験によるとほぼ9割がたの確率で最初からズレてしまっています。
これは実際に新車の組み立て時にエンド修正器を取り付けてみるとわかるのですが、ほとんどの確率で平行がでていません。多かれ少なかれズレてしまっています。その原因の多くはディレイラーハンガーが取り外し可能なことにあります。
ディレイラーハンガーはフレームのエンドプレート(後輪を固定する部分)に沿うようにボルトによって締め付けて取り付けられています。ところが実際には、このエンドプレートにもフレーム塗装の塗料が塗られており、フレームの端の部分でもあることから塗料の液ダレなどにより塗膜の厚みが異様に厚かったりします。その厚く平行でなくなった塗膜の上にディレイラーハンガーを装着してしまっているので、その分ズレが生じ平行でなくなっています。
また、ボルトでの締め付けにより固定していますので、ボルトの締め具合、もしくは緩みによってもズレが生じてしまいます。
さらにフレームのエンドプレート自体も必ずしも左右平行になっているとは限りません。なぜなら自転車のフレームは金属を溶接することにより接着して構成されておりますので、治具を使いズレないように計らっていても、溶接時の熱により少なからず歪みが生じてしまうからです。
ですのでもともと少なからず歪みのあるエンドプレートの上に分厚い塗料が乗り、さらにボルトの締め具合によってと3段重ねの要因により平行ではなくなってしまっているのです。ですから実際フレームにエンド修正器を取り付けると、ほぼほぼ9割がた平行ではなくズレてしまっております。
ではどうしたらいいのか、新車でもまず最初にディレイラーハンガーの取り付けボルトをしっかりと締め直し、さらにエンド修正器で平行になるように修正します。こうすることで本来の性能を100%引き出すことが可能になります。これを実際に行っているかいないかで新車でも変速性能に明らかに違いが生じてきます。全く同じ自転車でも変速に良し悪し(性能にバラつき)が出るのはこのためです。
デメリットその② 交換式ディレイラーハンガーの素材によってもメリットとデメリットがある。素材によって修正しづらい場合がある。
ディレイラーハンガーの素材のほとんどはアルミ製なのですが、使われているアルミの番手(硬さ)によりそれぞれ特徴が異なってきます。
例えば、一般的な価格のスポーツ車(台湾製、中国製、ベトナム製)などの完成車に使われているディレイラーハンガーの素材は比較的柔らかめのアルミ素材で曲げなおしが容易にできるというメリットがあります。その反面衝撃に弱く曲がってしまいやすいというデメリットもあります。つまり曲がりやすいけど修理もしやすいという特徴があります。
それに対して、アメリカ製やハンドメイドで作られている高級なフレームに使用されている交換式ディレイラーハンガーは固い番手のアルミを削り出して作成されているものや鍛造品が多く、素材が固いことから衝撃に強く曲がりにくいという特徴があります。
しかしながら、過度の衝撃が加わると、曲がるのではなくヒビがはいってしまったり折れてしまうことが多いです。単純に曲がっただけで折れたりヒビが入っていない場合でもエンド修正器で曲げなおしを試みた場合、素材が固すぎて簡単には曲がらず、修正時の作業中に折れたりヒビが入ってしまうことがよくあります。ですのでこういった固い素材のディレイラーハンガーの場合で不具合が生じた場合は曲げなおしをするのではなくて新品に交換するのがおすすめです。
つまり曲がりにくいが修理もしづらいという特徴があります。修理をしづらいということは交換用の予備の在庫を持っていた方がよいのですが、高級なフレーム、また削り出しの部品ということもあって価格が少しお高い場合が多いです。
一番厄介なのは、こういった高級フレームの場合で最初から平行が出ていなかった場合です。曲げ直しが難しく、無理に曲げようとすると折れてしまうことから場合によってはエンド修正器による修正ではなくて塗装の表面を削ったりして平行を出してあげなくてはいけない場合があります。
実際、新車組み立て時にどうしても変速調整がうまくいかず、エンド修正をこころみたら新車のディレイラーハンガーが折れてしまった(汗!!)なんてこともあります。(>_<)
ついに明かされる交換式ディレイラーハンガーの真実!!?
続きはD 遂に明かされる交換式ディレイラーハンガーの真実!? エンド金具について考える。 その②にて。
♦ まとめ ♦
①交換式ディレイラーハンガーにはメリットとデメリットがある。
②メリット フレームや変速機を保護する。交換が可能。
③デメリット 変速性能にバラつきが出やすい 正しく調整し装着する必要がある。
④デメリット 調整が難しい場合がある。
⇒ D 遂に明かされる交換式ディレイラーハンガーの真実!? エンド金具について考える。 その②
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